お知らせ

高齢者施設の新たなチャレンジ〜子どもの笑顔をはぐくむコーディネート

大坪 博子

ケアマネジャー〔左〕(2019年時点)

青山 ひろみ

ボランティアコーディネーター(2019年時点)

子どもたちの楽しみにしている木曜日

木曜の夕方。小学4年生と5年生の兄弟がフリースペースアイリスにやって来ます。親が仕事で夜遅く帰宅するため、下校後は2人だけで過ごす日々。そんな兄弟の楽しみは、ボランティアの大人たちと一緒に過ごす週1回の時間。場所は特別養護老人ホーム「近江舞子しょうぶ苑」の談話コーナーです。長机にネット代わりの段ボールを置いて卓球をしたり、カードゲームをしたり。将棋は地域ボランティアの方に教えてもらいました。子どもに関わるのは常時3名ほどと、送迎・卓球・入浴などそれぞれの時間をともにするボランティアは10名以上。2016年2月のプレ実施を経てフリースペースを始めた当初、兄弟には荒い言動が見られました。そんな時は頭ごなしに叱らず、なぜいけないかを考える時間を作ったり、具体的な例を示して諭してきました。何度も根気よく。今では挨拶も、ありがとうやごめんなさいの気持ちも、口に出して言うことができるようになりました。

地域で子どもたちを育てる拠点として

「彼らと一緒に成長していけることがとても嬉しいです。高齢の方も過ごすこの場所だからこそ相手を思いやる気持ちが芽生えたのかもしれません。彼らを大事に思う多様な大人との交流を通して、彼らが歳を重ねても自分を大事にすることができると信じています」とフリースペースの開設当初から関わるボランティアコーディネーターの青山ひろみさん。また、ケアマネジャーの大坪博子さんも「最初は場所の提供ぐらいにしか思っていなかったのですが、子どもたちと過ごす時間が楽しくて元気をもらっています。仕事中は人生の先輩である高齢の方から、フリースペースでは子どもたちから教わることがあり…すべてが学びです。人対人、心のつながりの尊さを感じています」と、子どもたちに温かなまなざしを向けられていました。戸惑いながらのスタートでしたが、1年が経ち、フリースペースは大人たちにも変化をもたらしているようです。今では談話コーナーを行き来する施設のスタッフも兄弟に目をかけてくれています。地域で子どもを育てよう、その思いと必要性が木曜日の日誌に綴られていきます。

フリースペースとは

さまざまな事情でさみしさやしんどさを抱える子どもたちの夜の居場所です。地域の社会福祉施設で週に1回、ボランティアの大人たちとのびのびした時間と夕食、入浴をともにし信頼関係を築いていきます。施設職員や地域住民の有志によるボランティア、福祉や教育関係機関がひとつの運営チームをつくり実践しています。フリースペースについての詳細は「子どもの笑顔はぐくみプロジェクト」のページをご覧ください。

 

フリースペース アイリス
実施施設:特別養護老人ホーム 近江舞子しょうぶ苑(社会福祉法人 志賀福祉会)
住所:大津市南小松90番地
日時:毎週木曜日17:00~20:00
電話番号:077-596-2233
メールアドレス:syoubu@mx.biwa.ne.jp
HP:http://shiga-f.com/

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